みなさん「NPO法人グリーンウッド自然体験教育センター」って知っていますか?
長野県にある泰阜村というとても小さな村で30年前から日本の豊かな自然と生活体験の力を信じて、子どもたちに「心の豊かさ」や「生きる力」を育んでいる団体です。
こちらホームページです。
http://www.greenwood.or.jp/
私は、小学校教師なのですが、前々から、
「自然体験や生活体験って子どもたちの成長にとってめっちゃ大切だよなあ」
「自分たちで決めて自分たちでやるから、楽しい最後までやり切れるんだよなあ」
「教師と児童って関係では関わり方に限界があるんだよなあ」
と思っていました。
今の学校現場では、思いっきり全身を使って自由に遊ぶということや自分たちで決めて自分たちでやる、という経験はほぼできません。
学校生活の中では、やってはいけない決まりがたくさんあり、体を動かして体験する時間よりも圧倒的に座って勉強する時間のほうが多いです。
また、あらかじめ教師が活動の方針やスケジュールを決めており、子どもたちはそれに従って過ごします。例え、自分が納得感がもてなくも半強制的に参加させられます。
自分たちで何かしようとしても、最終的には教師の許可がいります。
やりたいことがあっても話し合う時間・準備する時間の余裕もありません。
学校ってそんなもんでしょ?って思うかもしれませんが、私はどうしても「違和感」がありました。
この教育体制では、子どもたちには「やらされ感」や「欲求不満」がたまりますし、学校に通えば通うほど「自己決定の体験不足」・「話し合いの体験不足」・「実感を伴った学びの体験不足」が進行して、「子どもの心が育たない」と思っていました。
そんな時に、グリーンウッドのホームページを見つけて
「なんだこの団体は!!自分の理想の教育現場じゃないか!!」とすぐピンときました。
いつか、行ってみたいなあと思っていました。
そして現在、休職している身になり、「この時間を有効に使おう!」と思って、
実際に見学に行ってきました。
「NPO法人グリーンウッド自然体験教育センター」とは?
ここで改めて、「NPO法人グリーンウッド自然体験教育センター」について紹介しようと思います。
(基本データ)
- 団体名 特定非営利活動法人 グリーンウッド自然体験教育センター
- 設立年月日 2001年4月21日
- 代表者 代表理事 辻英之
- 役員数 17人
- スタッフ数 常勤役職員:16名 非常勤職員:1名
- 事業所
本部/長野県下伊那郡泰阜村6342-2 支部/愛知県愛西市諸桑町郷城83-2
- 主な事業内容 自然体験教育・国際理解教育・安全教育等の教育事業 及び地域づくり事業。各事業に関る指導者の研修及び養成。
(団体概要)
NPO法人グリーンウッド自然体験教育センターは、自然体験教育活動の普及と発展をめざして設立された特定非営利活動法人(NPO法人)です。
日本の豊かな自然環境を活用した自然体験教育活動を推進し、青少年の健全育成及び国民の豊かな余暇生活の構築に寄与することを目的としています。
特に、次代の担い手である青少年が「心の豊かさ」や「生きる力」を育んでいくことを支援するために、森・川をフィールドにした多彩な自然体験教育プログラムを実施しております。
http://www.greenwood.or.jp/dantai/dantai01.htm
設立が2001年になっていますが、それはNPO法人として活動し始めた年であり、実際には30年前から地道に活動を続けられて、現在に至ります。
その長い歴史や活動理念など、グリーンウッドのこれまでの歩みが書かれている書籍「奇跡のむらの物語~1000人の子どもが限界集落を救う!」も出版されており、「教育」や「地域活性化」、「自然体験」、「事業創設」などに興味のある方はぜひ読んでみて下さい。超おすすめです!
未来をつくる人になるために必要な3つの心
どんな立派に葉を茂らせている木でもねっこが弱ければ、嵐や災害で倒れてしまいます。昨今は、スキルやテクニックの力ばかりを伸ばしている風潮はないでしょうか。
学力があっても自立できない。体力、行動力、段取り力など身に付けても、その力を人のために使うのか、それとも・・・。
身に付けた力を発揮するには、正しく使うための心が必要です。
こどもたちの人生も親から手を離れ、1人で船出をするためには、太く、長い丈夫なねっこを持つことが大切です。
しっかり育ったねっこの分だけ、木は枝を伸ばし、葉を茂らせ、実を生らせます。人生を生み出していくこと、身に付けた力を社会のために使うこと。
それには、「感じる心」、「楽しむ心」、「生み出す心」が必要なのです。
http://www.greenwood.or.jp/dantai/nekko.htm
もう、まさにその通り!!!って感じで、私が学校教育で感じていた「違和感」を見事に説明されていました。
子どもたちの「感じる心」・「楽しむ心」・「生み出す心」を育てる場が教育現場には足りていない!!!
だから、私は先生するのが辛くなったんだとすとんと腑に落ちました。
実際に2泊3日見学してみた
11月7日~9日の3日間、2泊3日見学してきました。
今回、私が見学したのは、「暮らしの学校 だいだらぼっち」といって、グリーンウッドのメイン事業「山村留学」というものを見てきました。
グリーンウッドは長期事業と短期事業という両輪で運営されており、「山村留学」は長期事業です。
短期事業では、夏季・冬季キャンプ運営や学童保育、森のようちえんなど、様々な事業があり、教員育成や企業向けの研修も手掛けています。
http://www.greenwood.or.jp/dantai/taiken.htm
そもそも、山村留学って何?って思われた方、
山村留学は、
自然豊かな農山漁村に、小中学生が一年間単位で移り住み、地元小中学校に通いながら、様々な体験を積む活動です。
http://www.sanryukyo.net/blognplus/index.php?c=1-
つまり、丸1年間親元を離れて、その土地ならでの暮らしや自然体験をするというものです。
いったいグリーンウッドの「山村留学」とは、どういうものなのか。
実際に見てきたことをもとにレポートしていきます。
ここがすごいよ!グリーンウッド!①徹底的に子ども主体
まず来てみて、私は驚いたのは、「暮らしを子どもたちが自分たちで全て回していく」ということです。
どういうことかというと、朝ご飯づくり、敷地内の掃除、動物たちの世話、風呂焚き(薪で炊く五右衛門風呂です!)、夜ご飯づくり、洗濯、などなど、もう全て子どもたち自身がやります!
しかも、誰が何をするのか、も毎晩自分たちで話し合い、役割分担を決めます。
ご飯づくりは挙手制、掃除等の当番は当番表、風呂が男女どちらから入るのかはじゃんけんなど、決め方も自分たちで手順を作って決めています。
最初は、あまりにもスピーディーに話し合われるので、ついていけませんでした(笑)
ですが、子どもたちが「今はこの役割を決めてるんだよ」と教えてくれて、分かるようになりました。優しい。
実際に、初日に子どもと一緒に風呂焚きをしたのですが、慣れた手つきで薪を組んで、火おこしをする姿はとても頼もしく見えました。
また、子どもたちが作ってくれたご飯もおいしかったです(*^^*)
上記した日々の暮らしのことはもちろん、週末の予定ややりたいイベントなども自分たちで話し合って決めます。
大人があらかじめプログラムを用意しているなんてことはありません。
本当に、「自分たちで決めて、自分たちでやる」が徹底されていました。
夜ご飯後の話し合いに参加してみて、
- なんだこりゃ!!!子どもってこんなに自分の言葉に自信をもって話せるものなのか!!!
- 誰が司会をやっても大丈夫なんだ。すげえ。
- きちんと相手の意見の分からなかったら「こういうこと?」って確認しながら話し進めてる。
- 無関心な子や反応しない子がいない。
- みんなが対等な関係なのが分かる。みんな安心して意見を言えている。
- うまく意見がまとまらなくても、折り合いがつけられるように考えてる。
すっげー!!!こんな話し合い1年間続けたら力つくわ!!!
(実際の話し合いは床に座って円になってしてました)
ここまで、「自分たちで決めて、自分たちでやる」が徹底されているのは、本当にすごいと思いました。
ここがすごいよ!グリーンウッド!②最高の生活環境
本当に、自然豊かな場所でした。
お風呂もストーブも薪の力で生活し、自分が使う食器や箸は自分で陶芸や木工で作ります。
週に2回「教室」と言って、物づくりに挑戦できる時間もあり、作りたいものを自由に作れる時間がありました。
子どもたちもそこにいる職員もみんな「キャンプネーム」で呼び合い、大人も子どもも関係なくフラットな人間関係なのが分かりました。
私も「さーちゃん」と呼んでもらい、「小学校の先生」という社会的な立場ではなく、一人の人間として扱われているのがとても居心地よかったです。
「ああ、自分はこんな風に子どもたちと話したり、勉強教えたりしたかったんだなあ」としみじみ感じました。
外的な環境も内的な人間関係も、とても私は安心できる生活環境だと思いました。
ここがすごいよ!グリーンウッド!③教育理念が本当に実現している
ここまで読んでもらったら分かると思いますが、
グリーンウッドの「ねっこ教育」の理念は本当に実現されていました。
子どもたちからここでの暮らしの話を聞いてみても、
- ここで暮らすのはおもしろいよ。
- 自分たちで決めてやるのって楽しいよ。
- 「さーちゃん」もおいでよ!
と言われました。
「ねっこ」が育っているからこそ、そんな風に言えるのだと思いました。
また、子どもたちの暮らしの姿勢や話し合いの時の目を見ても、「本当にいい顔してるな」と感じました。
職員さんから話を聞いても、皆さん理念に共感しているから、このNPO法人に参加しているのが伝わりました。
また、同じ「山村留学」をうたっていても、グリーンウッドとは違う方針でやっていたり、中身はぞれぞれ違ったりするという話も聞けて、「ここが全てと思わないで」という話も聞けてよかったです。
まとめ
2泊3日は本当にあっという間で、最後もう1週間ぐらい滞在したい気持ちになりました。
薪割りやご飯づくりなどの手伝いもさせていただき、本当にいい経験になりました。
ぜひ、「今の教育ってなんか変」、「自然体験に興味がある」、「田舎暮らしってどんな感じ?」と思われている方は、1度ホームページや書籍を読まれることをおすすめします。そして、可能なら実際に体験しに行ってみて下さい。
こりゃ本物だわ!!
と思われると思います。
本当にグリーンウッドの皆さん、ありがとうございました。
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